酒屋と歯科

私の実家は、昔は造り酒屋をしていましたが、祖父が歯科医師になった事から、父親、兄、私も歯科医師になる事となりました。

私が中学になる頃に、父は家から車で5分の場所に歯科医院を移転しましたが、私がまだ、小学生の頃は1階でお酒の販売2階で歯科診療をしていました。

酒屋だった家を改装しての歯科診療所でしたので、患者さんは黒塗りの階段をトントンと2階に上がって行くと、畳に直接腰をかけるか、

団子屋に置いてあるような和風の長椅子に腰をかけて順番がくるのを待っていました。

真下に台所の部屋がありましたので、古い木造建築は隙間から臭いが上がっていくのか?窓からなのか分かりませんが、

うちの母親に、トイレに降りてきた患者さんから、『奥さん、今日はさんまだね!』とか『今日はカレーライスだね‼』と話しかけられ、

母親は、かなり恥ずかしそうにしていました。

 

昔は、歯科医師の数が今程多くなく、町内に2名しか歯科医師はおらず、むしろ足りない状態でしたので、さほど広くない待合いでしたが、『う蝕の洪水期』と呼ばれる時代で、

多い時には1日に70人来院していました。

私の子供時代である昭和40年代は、数分置きにグリコのおまけ付きキャラメルや、カルビーポテトチップス

カールきのこの山&タケノコの里キャラメルコーン西城秀樹のバーモンドカレーのCMが、ひっきりなしに流れ、『シュガーレス、キシリトール』などという、虫歯予防的

な考えのまだまだ少ない時代だったからでしょう。

 

昔は虫歯を削り、詰め物の材料をより良いものに。。。被せる金属の組成は材質は。。。ということへの追及、研究が沢山されていったけれど、

だんだん、やはり歯は虫歯になり、削って詰め物をした歯はどうしても予後が悪い場合が多い。。。予防に力を入れなくては。。。

という傾向に徐々に移行していきました。

 

私が大学を卒業したあたりの平成10年頃から~、フッ素塗布やフッ素洗口が大切だ!これからは、治療より予防の時代だ‼という感じの傾向がますます強くなり、

平成20年頃から、学校でもフッ素洗口が行れるようになりつつあり、平成30年を過ぎた今では学校で義務化されました。

私の子供時代にも、フッ素洗口をおこなってくれていたらなあ~と、いまの児童が少々羨ましくなります。

 

『痛くならなければ歯医者なんか行かないよ』『子供の乳歯はいつか抜けるし、痛い歯だけ治療して』という考えの患者さんが多かった時代から、

『定期健診でむし歯予防、歯周病予防で歯のクリーニング』『子供の定期健診を兼ねたフッ素塗布』を希望される患者さんが多く来院される時代に

なりました。

 

特に、保護者の方でご自身が、虫歯や歯並びで気にされてる方は、わずか数ミリ?拡大鏡レベル?の虫歯を発見され、来院されます。

仕上げ磨きは当たり前、フッ素までもきっちりされていて、感心させられるお母様も沢山いらっしゃいます。

昔の父親の削る、詰める、被せる時代の歯科治療から、予防歯科に変わってるなあ~~と最近しみじみと思います。

 

ただ、それとは逆に、顎の成長不足で歯列不正な子供が、昔以上に増えている様におもいます。

軟らかいものしか食べない『軟食化時代による顎の成長不足』が原因で、歯並びが悪い子供が多いです。

昔、私の子供時代は、畑でとれたトウモロコシを茹でたのを、直接手に持ってかじっていたり、クジラ肉がまだ出まわっていましたので、『クジラのケチャップ煮』

を『硬い~けど美味しい!』なんて思いながら嚙みしめて食べていました。

タコやイカも私は大好き(^▽^)/なのですが、顎の成長不足な子供のお母さんに聞くと、『うちの子は、硬いタコやイカや少し硬い肉は全部のけてしまって食べないんです

と、話されていました。

 

3歳で乳歯が完成したら、お子さんの歯と歯の間に隙間があることが大切です。

ぎっちり乳歯ではありませんか?

3歳であごが小さい事に気が付いたら、6歳で永久歯が萌出してくるまでの3年間でしっかり噛んであごを成長させることが大切です。

3年あれば、間に合うかもしれませんが、7~8歳で前歯の永久歯が4本萌出してからでは、もうしっかり噛んで自然に成長!は間に合いません。